第71回不具合対応ブログ(潤滑油6 基油変更)
潤滑油は基油(ベースオイル)と添加剤の組み合わせで,鉱物由来の基油は粘度の違いによる性能の影響:攪拌抵抗によるフリクションロス,配管抵抗による圧力応答性,比熱の差による冷却性能,油膜厚さ,粘度指数等だけで,摩擦摩耗性能は添加剤の組み合わせのみで決まると考える.従って,鉱物系基油の種類を変えても摩擦摩耗性能は変わらないとされる.
ところがある目的で基油を同じ粘度の他の基油に変え,添加剤処方は変えない潤滑油を評価した結果,ほとんど性能は同じであったが,摩擦試験終了品を手に取ると違和感があった.そこで,表面を実体顕微鏡で観察するとともに表面粗さ計で測定した.すると表面が鏡面化して,相手材の焼け程度が大きかった.そこで測温結果を改めて確認すると表面温度が高くなっていた.また,摩擦係数も若干高い傾向になっていた.一方,潤滑油を改めて観察すると,変色の度合いが少なかった.ここで整理すると,基油を変更したことで摩擦試験後の試験品に対するダメージが大きいが,潤滑油のダメージが少なかったということになる.
その後,この結果をもとに,この潤滑油は採用しないことになった.
結論:基油のみの変更の場合でも摩擦摩耗性能の影響を確認する必要があることが分かった.
