第56回不具合対応ブログ(焼付き・摩耗不具合対策 DLC)

部品の焼付きや摩耗の不具合対策としてDLC(ダイヤモンドライクカーボン)を最後の手段として検討される場合がある.どんな表面処理をしても根本的に不具合が改善されず,費用が多少掛かっても良いので一度検討しようと踏み出すケースがある.しかし,自社で成膜装置を保有していることは稀で,外注に頼らざるを得ない.しかしどの外注先が良いか,成膜方法も成膜種類も多種多様で,どのように選定したらよいか迷ってしまう.またどのように良否を判断すればよいか自信が持てない.これらの解決策について以下に取り上げる.

  • 外注先候補選定

製膜装置を保有している会社は町工場レベルから広く量産を手掛けているところまであるが,まず現状の部品の不具合を説明した際にDLCだけではなく,他のコーティングも含めてメリットデメリットをきちんと説明してくれる会社は信頼度が高い.少ない量であったり,一品ものであったりすると小さな成膜会社が融通が利くので,成膜種類は少なくてもその中で最適解を一緒に見つける努力をしてくれる会社を推奨する.成膜種類の主流はPVD(Physical Vapor Deposition:物理吸着)であり,水素を含む(水素含有DLC),含まない(水素フリーDLC)の2種類に大別される.水素フリーDLCは硬度が非常に高く,油中での使用に適している.水素含有DLCは水素フリーに比べるとやや高度が低いが厚膜化が可能,無潤滑の使用で効果が大きい.これらを踏まえて選定いただきたい.

  • 良否判定

 成膜割れが発生することがあり,中間膜の選定,膜厚を薄くするなどの対策が必要になる.成膜の安定性(成膜位置・距離,成膜バイアス電圧,成膜真空度,成膜温度)もチェックが必要である.ドロップレットの発生にも注意が必要である.表面に微細な粒粒:ドロップレットが付着すると以下の問題が発生する.

  1. 表面がざらざらになる:膜の表面に小さな突起や凹凸ができる
  2. 性能が落ちる:硬さ、なめらかさ(低摩擦性)、ピンホール防止の力が弱まる
  3. 相手を傷つける:突起が原因で、こすれ合う相手の部品を傷つけてしまうことがある

特に重要なのは成膜会社任せにならず,上記に留意し採用いただきたい.

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