第39回不具合対応ブログ(乾式クラッチ不具合)
乾式クラッチというとマニュアルトランスミッション(MT)のクラッチを連想される方が大半ではないかと考える.筆者は長年MT用のクラッチ材料開発を担当してきた経験があるが,その経験から機械用のクラッチの不具合に言及する.
乾式クラッチの種類はいくつもあるが,その中で機械式ドグクラッチおよび有機複合材料を用いるクラッチがある.まず機械式ドグクラッチについて取り上げる.
機械式ドグクラッチは筆者も摩擦試験装置開発で不具合に遭遇してきた.まず代表的なのはクラッチの動機不良であるが,これは装置の電機的な信号と機械動作のずれにより発生する.機械が止まっているときに動機不良になる場合がある.これはドグクラッチの嚙み合わせが凹凸の位置に無いため同期しない.少し回転すれば同期するが,セッティングの仕方が悪いといつまでも同期しない.また,回転が高い場合は同期する際噛み合わせの部分が破損する場合があるので,同期する条件を限定する.また,同期の繰り返しが進むとスプリングが疲労で破損する場合がある.ここも検査タイミングを設定したい.
次にライニングと称したりする有機複合材料を用いる場合を取り上げる.通常メーカから提示されている使用範囲内であれば問題ないが,以下の点に注意されたい.クラッチ係合時の回転数は守っていても,クラッチ自体が使用範囲を超えた回転数になるとバーストして破損する場合がある.回転が上がらないように使われたい.また,時間当たりの係合頻度がある回数を超えると,クラッチが滑り始めて同期(係合)不良になり,クラッチの摩耗が進んで有効摩耗城を超えさらに滑ってしまう.同期する筐体自体のイナーシャ―が大きい場合も同様である.また,ライニングを用いる場合気を付けたいのは摩耗粉の排出である.摩耗粉がクラッチ面に入り込むと滑りや摩耗を加速する.摩耗粉の排出溝を付与するのも効果がある.

