第55回不具合対応ブログ(焼付き・摩耗不具合対策 メッキ)
焼付きや摩耗の不具合対策として表面処理を検討する場合がある.種類が多く.どの表面処理にするかは実はあまり決め手がなく,前例を確認する,もしくは表面処理メーカのカタログや売込みから良さそうなものをいくつか試して選定する.しかし,その表面処理のキーのノウハウを十分確認することなく採用すると不具合につながる.今回は3種類のメッキについて取り上げる.
- 硬質クロムメッキ
広く使われているメッキであるが,製造工程で六価クロムを使用するので環境への配慮から使用がされなくなっている.さらに母材の金属の水素脆性を引き起こす懸念があり,後処理が必要になってくる.加えて耐摩耗性を確保するため厚膜にすると割れやすい.また形状が複雑であると膜厚が不均一になったりする.これらを解決できたとしても,最も懸念されることは,表面粗さが大きくなり更に鋭角になり相手を摩耗させてしまう恐れがあることである.これを防ぐにはワークの表面粗さを小さくしておくことが必要になる.
- 無電解ニッケルメッキ
硬質クロムメッキの代替として広く採用されてきているニッケル・リンメッキである.カニゼンメッキとしても知られている.無電解であるので膜厚が均一で,熱処理すれば比較的硬度が高く耐摩耗性がある.品質に関して処理メーカの差が出やすいので,安いメーカだからと言って採用すると品質ばらつきが出て不具合につながるので,選定の際は注意が必要である.
- ニッケル・リン・テフロンメッキ
上記のメッキにテフロンを分散させて無潤滑化の摩擦係数を下げ,焼付きを防止する効果が期待できる.硬度もニッケル・リンメッキと変わらない範囲もある.さらにコストが上がり,処理工程も専門性が高いので採用には留意したい.筆者がこれまで携わった中では,摩擦特性が最も良好になる傾向があった.

