第58回不具合対応ブログ(潤滑油5 粘度増減・ヘドロ化)
潤滑油についてこれまで変色,濁り,漏れ,異臭について取り上げてきたが,今回は粘度が増減する事象,ヘドロ化する事象について取り上げる.以下にそれぞれの発生原因別に示す.
- 酸化劣化
しばらく潤滑油交換していない,状態をチェックしていないときに粘度が増加,最悪ヘドロ化してものすごい悪臭がする場合がある.その原因の一つが酸化劣化である.酸化劣化を引き起こす要因は冷却不足,高負荷での連続運転,状態チェック忘れ,検査飛ばし,交換忘れがある.冷却不足は,油温センサー位置が不適,配管スラッジ堆積による油流れ不足によっても引き起こされるので,配管のチェックや清掃もチェックリストに加えてほしい.高負荷の連続運転があった場合は不定期でも潤滑油状態をチェックしてほしい.状態チェック忘れと検査飛ばしの違いは,通常潤滑油は目視と手感や粘度計を使って状態をチェックするが,検査飛ばしは粘度に加えて酸化度をチェックすることを指す.粘度変化が少なくても酸化度が上昇する傾向にあった場合,急激に酸化が進む可能性があるので注意されたい.
- 粘度調整添加剤の劣化
潤滑油の種類によってはVM(Viscosity Modifier,粘度調整剤)が添加されている場合がある.この役割は高温で粘度低下を安定化させる効果がある.この添加剤は高分子ポリマーであるため,ギヤのようなせん断負荷が繰り返されるとポリマーが切断され,その効果が低下する.そのため高温での粘度が低下する.高温粘度が低下すると焼付きのリスクが大きくなる.使用される潤滑油にこの添加剤が含まれているか確認されるとともに,せん断負荷が繰り返される使用環境の場合は交換頻度を考慮する必要がある.
- 低粘度基油の蒸発
潤滑油は粘度を所定の粘度に合わせるため異なる粘度の基油を混合している場合がある.従って高温状態が続くと低粘度の基油が蒸発して高粘度の基油の割合が増える.潤滑油の量だけチェックしていると粘度増加でトルクロスが発生するので必ず定期的に粘度チェックをする必要がある.
- 異物混入
よくある現象は水の混入である.もともと潤滑油には微量の水分が含まれているが,特に結露や近くに水を使うラインがある場合は水分が混入する.水分は油分より重たいのでタンクや油槽の底に溜まってくる.一定の水の量になると機械に巻き込んで白濁してさらに進むと潤滑油が劣化してゲル状になったりして機械の焼付きが発生する.ドレンプラグを油槽やタンクの底に設置して水抜きするとともに,定期的に水分量をチェックすることが望ましい.

