第61回不具合対応ブログ(不具合対策 樹脂コーティング)

第55回から第57回まで焼付き・摩耗対策として表面処理について取り上げてきた.今回は樹脂コーティングについて取り上げる.樹脂コーティングは使用されるバインダーの種類や配合される材料の種類は多く,そのコーティングの種類は個別の用途ごとにテーラーメイドになっている場合が多い.それら樹脂コーティングは焼付き・摩耗以外の対策にも使われるので以下にまとめる.

  • 焼付き・摩耗対策

ここでは筆者がかつて開発に携わっていたエンジンピストン用の樹脂コートの経験をもとに述べる.エンジンピストン用の樹脂コートについては以下の参考文献を参照されたい.

https://www.aisin.com/jp/technology/technicalreview/28/pdf/16.pdf

面当たりの部品同士で焼付きや摩耗で不具合がある場合は検討の候補となる.点接触や線接触の場合には樹脂コートは適さない.金属面にコーティングする際,下地にある程度凹凸があったほうがコーティングははがれにくい,かつ潤滑油の油だまりになり,コーティングが摩耗して金属面が露出しても耐焼き付き性はある程度維持される.コーティングの厚さは厚い方が耐久性は増すが,金属面と剥離しやすくなったり,膜自体の均質性が確保できない場合があるのでその見極めが重要である.

  • 異音・振動対策

金属面同士や,樹脂やゴムとの接触で異音が発生した際,樹脂コーティングが有効な場合がある.金属面同士の場合は上記と同様に面接触の場合に限る.異音防止のため,グリースなどの油剤を塗布する場合もあるが,油剤が使えないドライ環境等の場合検討する.薄く,部品によっては塗布の有無がわからない程度でも効果がある.塗布する側は,塗布しやすい側でまず検討されたい.

振動対策の場合,筆者もかつて携わったが,制振材の追加が困難な場合コーティングで対処可能な場合がある.コーティング自体で振動エネルギーを吸収して制振するが,コーティング厚さ依存性がある.

  • 耐熱・断熱対策

放射熱で不具合が発生する場合,耐熱・断熱膜のコーティングも有効である.ただし,有機材料であるので経年劣化や,耐熱限界温度があるので使用環境を確認されたい.

  • 撥水,撥油対策

 水の侵入を防ぐ必要がある,油の付着を防止したい場合は撥水,撥油用のコーティングがある.筆者もトライボロジー研究開発の一環でかつて携わったが,完全撥水は表面形状制御と合わせる難しさがある.撥油についてはある程度の効果までは対応可能である.

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