第40回不具合対応ブログ(湿式クラッチ不具合)
湿式クラッチは湿式ブレーキも含めて機械の切り替え装置や自動車のオートマチックトランスミッション(AT)やCVT,4WDの切り替えクラッチ等に多くは多板で使われる.筆者は乾式クラッチ同様に長年湿式多板クラッチ材料開発および現象解析に携わってきた.今回はその経験から機械用の湿式クラッチの不具合に言及する.
まず同期不良,切り替え不良についてである.いくつか原因があるが,以下にいくつか例を示す.
- 押し付け圧力不足による同期,切り替え不具合
大元の油圧ポンプやエアポンプの突出圧は当然チェックが必要であるが,途中のフィルター目詰まりもチェックが必要である.また,ピストンのオイルシールの劣化による硬化や膨潤もチャックが必要である.エアの場合は圧力変動の影響もある.油圧の場合は潤滑油の不足や劣化,配管内のエア混入の影響もある.
- クラッチトルク低下による同期,係合不具合
クラッチトルク低下にはいくつか原因があるが,油圧の場合まず確認したいのは潤滑油劣化である.粘度変化や化学分析による全酸化や全塩基化の確認,最終的には摩擦試験で判明する場合もある.次に湿式クラッチの目詰まりや焼けである.表面の色の変化や光沢で変化がわかる.劣化が進んでいるようであればクラッチを交換する.
- 同期時の振動,異音発生不具合
空気圧,油圧ともに圧力変動を確認する.さらに油圧の場合は水分混入の有無を確認したい.潤滑油の化学分析で水分率を測定する.また,潤滑油の劣化によっても発生するが,摩擦試験で摩擦係数と速度の関係性で判断する.

