第52回不具合対応ブログ(特殊鋼部品の焼付き・摩耗)

特殊鋼はその使いやすさから多くの部品に採用されている.昨今はMo(モリブデン)などの希少元素(レアメタル)を含む材料は,価格高騰や入手性から代替材料の検討も進められている.特殊鋼そのものに関する情報はネット上に多くあるので生成AI等に問い合わせてもらいたい.ここでは特殊鋼の焼付き,摩耗について過去経験した内容を取り上げる.

  • 浸炭処理した特殊鋼 

特殊鋼は耐摩耗性と靭性を両立させるため浸炭処理をしているケースが多い.まずは浸炭処理が部品形状によっては均等に入らず摩耗でNGになってしまうことがある.浸炭処理条件,処理炉のばらつきや,部品の投入個数,場所によって浸炭深さのばらつきが生じ,結果浸炭深さ不良の部品が発生する.前述した原因を調査し対策されたい.また,浸炭による表面の荒れが粒界酸化によって生じて,早期摩耗を生じることがある.浸炭深さのチェックではわからない.複雑形状の部品の場合は表面硬度が測定できないことも原因である.最表面組織まで確認することが必要である.対策は浸炭条件の見直しや,研削加工と追加などがある.

  • 窒化処理した特殊鋼

浸炭処理と比べて硬度が高いが処理厚さが薄いのが特徴である.一般的にはガス軟窒化が主流である.硬度が高いため,相手攻撃性が高く,接する相手材が摩耗するケースが多い.設計が小変更でも,接触部の状態まで考慮することは経験の浅い設計者には難しい.全体の剛性,応力ひずみ等を考えて接触部の均等接触が求められる.対策は接触部形状変更,剛性変更,板厚変更等である.

塩浴窒化も少量生産対応で採用されることがあるが,処理厚さ不均一のため摩耗,焼付きの不具合が発生することがある.ガス軟窒化と比べて,処理前管理が不十分なケースがある.錆やバリが十分に落とされていない状態で処理されないように直前のワークチェックが必要である.

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