第35回不具合対応ブログ(ヘリカルギヤの損傷)
製品や工場の機械にはギヤが多く使われている.ギヤの種類も多くあるがここでは多く使われている‘はすば歯車’ヘリカルギヤの損傷について取り上げる.
故障モードとしては,機械振動,異音発生や異常トルク発生があり,調査するとギヤ部が損傷している.ヘリカルギヤの損傷形態をAIに聞くと以下の回答がある.
代表的な4つの損傷と原因
1.摩耗(アブレシブ摩耗・ポリッシング)
現象: 潤滑不良や異物の混入などにより、歯の表面が削り取られる現象。進行すると歯形が崩れ、異音や振動の原因になります。
2.ピッチング・スポーリング
現象: 繰り返し強い面圧を受けることで、歯の表面に小さな穴(ピッチング)ができ、それが拡大して表面が剥離(スポーリング)する現象です。初期かみ合い不良や過大荷重が主な原因です。
3.スコーリング
現象: 歯面間の摩擦熱と高荷重によって油膜が切れ、金属同士が局部的に融着と剥がれを繰り返す現象です。高速回転や高トルク環境で発生しやすい熱的損傷です。
4.疲労折損
現象: 歯の根元の「危険断面」に繰り返し許容値以上の曲げ応力がかかることでひび割れが発生し、最終的に歯が折れてしまう致命的な損傷です。
―以上AI回答
まず「摩耗」についてであるが,基本的には性能上問題が発生するまで摩耗は問題ない.異物混入があって,アブレッシブ摩耗が発生していても性能に問題が無ければその時点では問題ない.しかし,製品のばらつきや,異物混入経路等を考慮して品質上の問題の有無を判断する必要がある.また,機械であれば通常摩耗であるのか異常摩耗であるか判断が必要である.通常摩耗であれば機械の寿命推定を計算する必要がある.
次に「ピッチング・スポーリング」であるが,これも性能上問題が無ければ問題ない.しかし発生条件を特定することが難しい.再現試験を試みても,ギヤの製造ばらつきがあり,例えば歯面の接触面圧を同定することは容易ではない.製品や機械の機能面を満たすための設計とのバランスが必要になってくる.設計に変化点が無い場合は,製造不良や潤滑不良,従来の使用範囲を超えていないかチェックする.
「スコーリング」であるが,まず潤滑不良や温度超過,限界トルクや速度を超えて使われていなかったかチェックする.また潤滑油変更も関係する.製品または機械の効率アップのため低粘度の潤滑油の選択,もしくは低コストの潤滑油を選択(十分な添加剤が入っていない)すると発生する.また,静粛性向上のためギヤ諸元を変更すると発生する場合がある(摩耗,ピッチング・スポーリングや疲労折損も同様). 「疲労折損」の場合は,過大トルク入力がまず疑われる.過大トルク入力になかにも,ノイズレベルの過大トルクが引き起こす場合があるので再現する場合は計測に注意する必要がある.また,応力の繰り返しによる折損がある.折損面にビーチマーク(筋状の波紋)が観察される.ただし,焼き入れ鋼の場合はビーチマークが確認できない場合がある.いずれにしろ破断面の入念な観察が必要である.
